早大国語・学部別の特徴

政治経済学部

 

2021年度より出題方法が大きく変更になり、共通テスト+独自の試験問題になりました。

よって、2020年以前の過去問題の傾向はあまり役に立たないと思いますが、全体的に問題自体はオーソドックスで解きやすいものが多いです。ただし、他の学部より教養や前提知識を問う問題が多く、合格最低点も高いです。高得点勝負になっていることが予測できます。

法学部

 

近年は第1問が古文、第2問が漢文、第3問・4問が評論文の出題形式です。

 

古典は基本的な単語の意味から直訳・意訳を問うものから、和歌・漢詩の解釈、文学史まで幅広い知識を問われる問題が出題されています。とはいえ基本的な知識がベースになっていることが多いので、まずは基本をおさえながら、難易度の高い和歌の解釈や複数人物が登場する際の人物の把握を正確にし、古典常識の理解などをしておく必要があります。

 

現代文は、他学部と比較すると文章量が長く、テーマも抽象的で難解な課題文の時があります。法学部といえども、法律に関わる文章が出題されるというよりかは、哲学・倫理学・言語学など、比較的抽象度が高いテーマが多いです。

 

また、問題は比較的難しいです。選択肢の文章が長く違いが細かいため、最後の一択に絞るのに苦労します。記述問題も近年は毎年出題があるので時間的な余裕がない構成だと感じます。

文学部

 

現代文2題・古文1題・漢文1題の4題での出題です。どの大学も割とそうですが、文学部の国語はその大学の中で一番癖があったり、難しい場合が多いです。早稲田もその傾向はありますが、私の感覚では法学部よりかはやや易しいかと思います。ただし、近年の受験生の話を聞いていると、英語も含めかなり高得点勝負になっているようです。

 

テーマは文学部らしく芸術や文芸・文化・哲学などが多いので、文学に興味がある方は読んでいて面白いと感じる文章も多いと思います。逆に言うと、それらのテーマになじみがない人は、問題集を活用しながら出やすいテーマに日ごろから触れておき、背景知識を持っておくと抵抗は少なくて済みます

 

問題は空欄補充がやや多いです。空欄補充は全体の要約よりも細かい読解や論理構造が決め手になります。よって、空欄補充問題に苦手意識を持っている方は文学部の問題は練習に使えます。

 

古典は法学部同様、知識と読解の双方をまんべんなく問われます。ただ難問奇問はなく、実力があれば解ける問題が多いです。

文化構想学部

 

文化構想学部は、8年ほど前に誕生した早稲田の中では歴史が浅い学部です。第一文学部・第二文学部と分かれていた文学部が一つになり、それにともなって文化構想学部が誕生しました。文学部では研究対象は文学ですが、文化構想学部は映像などのメディアも対象になるので、国語の問題も、さまざまな資料を早く正確に情報整理する力が求められています。

 

構成は、現代文2題・現古漢融合問題1題の計3題です。

大問1の現代文は、2~3個の文章を比較しながら答える形式で、明治時代程度の近代文語文がでることもあります。

大問2の現代文は、比較的読みやすい評論文やエッセイが出題されます。

大問3は、現代文・古文・漢文、3つの文章を読み、それに沿った問題をそれぞれ解く形式です。

 

ここ2~3年は、記述問題がいずれかの大問に出題されています。大問1や3のような形式は、あまり他大学他学部では見られない形式なので、過去問研究が本当に大事です。特に大問2は簡単な分、落とせません。

 

教育学部

 

教育学部は、早稲田大学の中でも一番オーソドックスな問題が多いという印象です。あまり癖のある問題もなく、テーマに偏りもありません。基本的には読解ができていれば素直に解ける問題が多いので、早稲田大学にどうしても受かりたい人や、早稲田大学のレベルを知りたい人にはお勧めの学部です。

 

近年は、現代文2題・古漢融合1題の出題です。形式上は古漢融合ですが独立して解く場合が多く、年によっては漢文が独立して大問を構成している場合もあるので、漢文も基礎をしっかり入れておいた方がいいでしょう。

 

ただし注意点として、教育学部は現代文で特に筆者の主張の根拠を問う問題(「なぜか?」と問われる問題)が多く出題されています。この場合、聞かれていることは筆者の主張の意図であって本文の内容ではありません。つまり、たとえ本文に記述があってもそれが答えにならないことに注意が必要です。 

 

また、現代文に随筆が出ることがありますが、人によっては随筆文を苦手とする人もいるようです。随筆文が苦手な方は対策が必要かと思います。


商学部・社会科学部

 

近年の傾向だと、商学部は現代文1問・古文1問・漢文1問、社会科学部は現代文1問・現古漢融合問題1問の出題です。

商学部は古漢融合の年もあります。

 

両学部ともに、古文・漢文は基本的なことを扱っている問題が多いので、基礎をしっかりおさえることが重要です。

ただ、商学部は何年か前から少し難化傾向にあります。古文が歌論からの出題が多く、物語のように流れがつかみにくいので、歌論が弱い方は、歌論の出題が多い政治経済学部の過去問題を練習として利用するといいと思います。

 

現代文は、商学部は商学部らしく、経済や社会がテーマになっている文章が比較的多い印象ですが、社会科学部は社会学・認知学、人類学など、社学らしく扱うテーマが多岐にわたっています。また、たまに論拠が見えにくい問題もあるので、基本的な問題・落としてはいけない問題をしっかり得点することが大切です。

 

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