受験で問われる現代文は、以下の4種類に分かれます。
1は基本的にはどの大学受験の方式でも問われます。
なので、目標に関わらず優先度が高く、授業でも扱う機会が多いのは1の評論文です。
2~4は、共通テストや文学部などでは出題がありますが、私立校で必ず問われるものではありません。
受験する学校の過去問題を確認し、過去に出題例がない場合は、対策をしなくてもよいと思います。
よって、受験現代文=評論文の対策をメインに行うと考えるとよいです。
(尚、上記は大学受験にも高校受験にも当てはまります。高校受験においても、公立高校では1~4まで出題されますが、2~4は私立高校では出題のない学校も多いです。)
評論文を伸ばすために必要なことは以下の3つです。
1の語彙力に関しては、現代文では見落としがちな要素です。
日本語だから英語ほど単語に神経質にならなくてもよいようにも思えますが、受験評論文は普段あまりなじみのない学問や抽象的なテーマが話題となるので、そこで頻繁に使われる語彙は知らないと文章の内容が正確に読み取れなかったり、誤答につながります。
ただし、語彙力にはかなり個人差があります。
学校で多くの対策を重ねていたり、読書量などが多く、全く対策が必要のない子もいれば、
今まで本を読む機会もあまりなく漢字が苦手だったり、帰国生で漢字をほとんど知らないという子もいます。
苦手な子は、英単語のように機械的に語彙を暗記する学習も別途取るべきです。
2の要約力は、評論文の学習でとても重要な要素です。
国語なので、問われることは文章の内容に関することです。
なので、文章の内容を頭で理解し、自分の言葉で簡単にまとめることができれば、解答に答える準備ができます。
文章の要約を書いていくと気づくと思いますが、うまく言葉に言い表せない箇所があなたの理解できていない箇所です。
自分の書いた要約には、自分の今の状況が如実に表れているので、自分の状態を客観的に見るため、内容を整理するためにも、「言葉で書いて視覚化する」という作業は役に立ちます。
また、そうして苦労して整理した文章は、あなたの頭の中に蓄積されます。
入試のテーマにはある程度繰り返し出される出やすいテーマがあるので、書いて整理して蓄積された文章に対する知識が、本番の理解の瞬発力につながります。
3の解答力は、得点に直接結びつく力です。
先ほど2で述べたことと矛盾するようですが「本文の内容はわかっているのに問題が解けない」人、多いです。
それは、テストの形式が、出題者の意図を問題文から読み取り、出題者が求める条件で解答しなければ、点数がもらえない仕組みになっているからです。
学校の定期試験、普段使っている問題集、たまに受ける模擬試験、志望校の過去問題…
それぞれに出題者がいて、出題者がいるということは、出題の意図があります。
普段日常会話で自然にやっているように、相手の意図に合わせて答えないと意思疎通が取れません。
その問題は、
文章の内容の理解を問いているのか
筆者の主張の理由を問いているのか
文章の論理構成を聞いているのか
知らないと解けない知識を問いているのか…
「相手が今何を自分に向かって質問しているのか」を明確に意識した上で、その意図に合わせて答えることで、正答を選ぶことができ、点数がもらえます。当たり前のことですが、見落としがちです。
また、問われる質問には、似通った傾向があります。過去問演習が受験生の秋冬になって重要になってくるのは、出題者の問い方に合わせて答える練習でもあるからです。
現状、大学受験で小論文が問われるのは、以下の場合です。
上記の大学や試験制度での受験を検討している場合、小論文対策が必要です。
基盤として必要なことは、「評論文を伸ばすために必要なこと」と同じです。
なので、受験で小論文を必要とする方も、途中までのカリキュラムは現代文受験の方と同じです。
ただ、現代文と小論文の違いは、自分の意見を問われるかどうかです。
現代文はあくまでも、本文の内容理解なので、自分の考えが入ると「本文に書いていないので間違い」となってしまいますが、小論文は、本文の内容を踏まえた上で、自分自身の考えを述べます。
そこで必要なのは、記述力と情報整理力です。
自分の考えを述べる といっても、自分が考えたことはたいてい、世の中の誰かが言っています。
なので、自分の考えを述べる前に、世の中の大きな流れやそこに至るまでの経緯、影響力を持った人物の発言・行動、起きた事件の概要を知る必要があります。
その上で、それについて賛成なのか反対なのか、自分はどの立場に立っているのかを相手にわかるように説明します。
記述力に関しては、現代文の記述問題も同じことですが、小論文を伸ばすには現代文以上に自分の手で何度も書いて客観的に自分の解答を分析し、論理の運びや表現に矛盾がないか、ある場合どのように修正すればよりよい文章になるのか精査する作業が必要です。